ストーリオ

スピーカー(JBL 2120,JBL 2405用バッフル板)

更新日:2009-12-18

JBL 2120,JBL 2405用スピーカー自作 
 【往年の音を取り戻す】
 1973年に発売されたフルレンジスピーカーJBL2120、ツイーター2405、ネットワーク3105、これらの商品は山水が輸入元となり単体発売と、山水製のエンクロージャーにセットし、SP-2120と言う品番で発売され、大変な人気であった。30年以上経った今日でもその評価は衰えることなく、名機としての存在はたいしたものである。


 小生も、この年にJBL 2120・2405・3105を購入し、エンクロージャーは注文製作してもらい、自分でセットアップし今日まで使用してきた。しかし、最近低音の切れが無く疑問を感じ、前パネルを外してバッフル板を叩いてみて異変を感じた。バッフル板が浮いている、ドライバーでバッフル板を固定している木ネジを締めてさらに異変を感じた。最初はトルクが有るものの、締めるとバカになってしまったのである。そこでバッフル板を外してみるとバッフル板を受けるMDF板のような材で作られている枠が錐を刺すとずぶりと入り、強度が無くなっていた。バッフル板や箱の表面材は判らないが、ランバーコア合板と思われる。表面は強度があるものの、木口から錐を刺すと大分柔らかい。30年以上使用してきた物であり、その間の湿度と振動で材の強度が失われたものと思われる。
 低音に切れが無くなった原因はこの辺にあると判断し、30年以上使用してきたエンクロージャーを新しくすることにした。そこで、新たなエンクロージャーの図面をひきだしたが、表面仕上げはどうするか、前パネル(サランネット板)はどうしようと考えると結構面倒である。
 最近は小型スピーカーが主流であり、この大きさで箱が使えるスピーカーは中古であるのではと思いつき、リサイクルショップへ足を運んだ。なんと一軒目で小生を待っていたかのような、M社製の3Wスピーカーがあるではないか、箱を叩いてみるとかなり確りしている。しかもジャンク品である、こちらは箱に興味があり、スピーカーは見なかったがコーンとセンターキャップに傷があり、何かをぶつけてしまってジャンク品になったと思われる。箱が欲しい小生はスピーカーなんかどうでも良い、即購入し持ち帰る。
 早速、分解、臓物を全て外す。側面はランバーコア合板でバッフル板と裏板はMDFボードであるが、厄介なことに密閉タイプのためバッフル板は受け枠に接着されており、受け枠は側板に溝を掘り、埋め込まれている、しかし内部の補強リブやコナーの補強など丁寧な造りである。
 バッフル板製作も考えたのだが、なにしろ穴あけが大変である。手加工で寸法精度を上げるには神経と労力が必要なため、ストーリオ株式会社での製作依頼を決め、バッフル板の作図をし、発注をする。
 バッフル板ができてくる間に、箱の補修である。ネットワーク穴を埋木し、新たな穴をあけ替え、厄介なバッフル板部は、5mm程板を残して鋸を入れ、受け枠と共にノミで綺麗に面を出した。出した面には受け枠MDFボードの木口が残り、弱そうなので木工ボンドに水を加え、木口に充分含浸させ、一日置と、錐が入り難いほどの強度がでた。新たなバッフル板受け枠は、劣化を考慮し栂の角材で、仕口留め加工の枠を造り、はめ込んで接着した。
 箱の仕上げは、箱内の木口全てシラーで処理し、バッフル板の仕上げと同じ塗料で内面塗装を施した。表面にあった数箇所の小さな傷は、補修材で埋め着色後、オイルステインを薄めにして布で仕上げた。吸音材を貼り、箱の部分は完成した。
 前パネル(サランネット板)は付いていたものをベースに、ブランドロゴが入っているアルミサッシ部はパテ埋めし、ラベルテープを貼って判らないようにした。JBLのロゴマークも付けたいと探してみたが、真鍮製の物は入手できず、安っぽいがプラスチック製の物で我慢した。そうこうしている内に、バッフル板が届いた。これで、全てのパーツが揃った。
JBL 2120,JBL 2405用バッフル板の自作
加工されたバッフル板の寸法を確認、図面通りだ。何の修正も必要ない、加工精度の高さを評価すると共に感謝。
 バッフル板の加工を始める。MDFボードの劣化を恐れ、全ての穴あけを先に行い、木口の処理を行った後、全面塗装をした。
JBL 2120,JBL 2405用スピーカー完成
 いよいよ、組み立てである。機器の取り付け、バッフル板の固定には、木ネジを一切使わず、ボルトと鬼目ナットを使用している。そして、完成したのが上の写真である。
     
 テストの音出しを行ってみる。抜けの良い引き締まった低音が回復した。エネルギシュな中高音域と相まった、JBLサウンドである。バッフル板加工をして頂いた、ストーリオ株式会社殿に感謝申し上げる次第である。
神奈川県 Y.U 様
●STORIOコメント
 もう言う事が無いほどの作品ですね。このJBLスピーカーは、今でも中古で20万以上の値が付いていたりします。価格はともかく貴重なJBLをこうして再生し、世の中に残してくれているのが何より価値あるDIYだったのではないでしょうか。
 それにしても音質の劣化を良く気付かれましたね。日常聞いている音は、徐々に劣化するとなかなか分らないものです。こんな耳の肥えたお客様にまでサービスをご支持いただけ、私たちも嬉しい限りです。
●材料情報(参考)
-----------発送品内容----------------
ご注文番号:sd1003606
ご依頼内容:スピーカー部品(JBL 2120,JBL 2405用バッフル板)
材質:MDF 板厚:21mm
 「木材 No.1」 品代小計 ¥6390- (単価:¥3195×注文数:2)
   620×330mm, φ228穴×1 φ82穴×1 φ81穴×1
お支払い総額 = ¥7,129ー(品代:¥6,390+梱包送料:¥739)
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