ストーリオ

震災の記録(11月4日編)

更新日:2004-11-22


 昨夜も余震があった。すっかり慣れてしまい、少々の揺れでは布団から体を起こすこともなくなった。仕事中も同じ。デスクワークのスタッフは皆女性だが、震度3まではだれもキーボードを打つ手を止めない。4で顔を上げ、5でようやく外に出る。
 11月8日は、やっとゴミを出せる日だった。大きなゴミ袋を抱えて外に出たちょうどその時、余震がまた起きた。目の前の第四銀行の看板が大きく揺れ、頭上のアーケードも大きな音を立てている。S女氏と顔を見合わせ、「大きいね、まだ揺れが止まらない。」と話している目の前を、Y女氏が両手に大きなゴミ袋を持ったまま、平然と収集場所に運んでいく。さすが日頃から胆のすわったYさんだけある。おさまって事務所に入り、
S女氏「Yさん、今のは大きかったね。」
Y女氏「溜まってたからね、2つがやっと。」
S女氏「え、5はあったんじゃない。」
Y女氏「いくら私でも、5つは持てないわよ。」
S女氏「??・・・よく平気で歩いてたわね、怖くなかったの?」
Y女氏「ゴミが怖いの?、え、何の話?」
気象庁発表:11月4日午前8時57分 旧守門村を震源地とするM5.2の地震が発生。震度5強を観測。
 Y女氏に気付いてもらえなかったこの地震、小千谷市本町2丁目では『山本地震』と呼ばれ、名前が付けられた唯一の余震となった。
真実のみが伝説を創る。